このページでは「腸内環境」についてお伝えいたします！
私たちが排泄する便の約80%が水分です。残りの約20%のうち3分の2が食べかすや剥がれ落ちた腸壁であり、3分の1が腸内細菌です。
腸内にいる細菌はそれぞれ同じ細菌同士グループを形成して腸壁に隙間なく棲んでいます。
このグループを腸内フローラといい、正式名称は腸内細菌叢(そう)といいます。
腸内フローラを形成している菌は、大きく3つに分けられます。
体を守る善玉菌(約2割)、増えすぎると体に健康への問題が出る悪玉菌(約1割)、状況によって善玉菌の味方をしたり悪玉菌の味方をしたりする日和見菌(約7割)です。
善玉菌は乳酸や酢酸などを産生し、腸内を弱酸性に保ちます。
悪玉菌と聞くと悪いイメージが先行しますが、実際は肉類などのたんぱく質を分解したり、腸内をアルカリ性に傾けるなど無くてはならない働きをします。
日和見菌は状況に応じてどちらにも加勢する特徴があります。
この腸内細菌叢のバランスが崩れると、腸内環境が悪化したといえます。
腸活とはこのバランスを整えることを指します。
上記に挙げた以外にも腸内細菌には多彩な役割があります。
【代謝】
・糖質の代謝
・脂質の代謝
・食物繊維などの分解
食べたのものは吸収されてそれがエネルギーに変わって生命を支えるわけですが、その過程で腸内細菌は重要な働きをします。
【免疫力】
・白血球への指令
・他の有害細菌等を排除
・粘膜バリアの形成
免疫力の主役であるリンパ球の70%以上が小腸にあり、がん細胞の特異的に働く免疫は80%以上が小腸にあります。
【腸と各臓器間の通信】
・脳腸相関
・腸腎相関
・膵臓でインスリン分泌
腸内細菌は神経伝達物質を産生して脳と連携を図っています。
腸内細菌のバランスが乱れた場合、腎臓病のリスクがあがるといわれています。また腸内細菌は血糖値のコントロールにも影響を与えます。
「脳腸相関」
脳と腸が密接に関係しており、お互いに情報をやりとりしながら、体の恒常性(ホメオスタシス)を保っているという考えです。
細菌の研究が進むにつれて、「脳腸相関」の概念も進化し、「腸内細菌・腸・脳相関」という概念が生まれました。
腸内に住んでいる細菌は、腸管の免疫細胞のほかにさまざまな臓器との間で情報のやりとりをしていることが明らかになってきました。
なかでも迷走神経を介した脳とは莫大な情報のやりとりをしており、私たちの感情や思考にも少なからず影響を与えているのです。
【有用物質の産生】
・短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)
・エクオール
・神経伝達物質(ドパミン、セロトニン)
・ビタミン(ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ビオチンなど)
・生体内水素
細菌ごとに得意か分野があり、さまざまな種類の細菌が、相補的、相互的に働いて役割を果たしています。
このように多様な働きをしている腸内細菌のバランスが崩れるとさまざまな病気の原因になることは想像できると思います。
腸内細菌を乱すようなものは避け、腸内フローラに有益な食生活を心がけましょう。
城谷昌彦(2019) 『「体の健康」「心の健康」の絶対条件！腸内細菌が喜ぶ生き方』 海竜社
